『受精を準備する本能』

女性生理の器官系は、各部の巧みな連携と共同によって、初潮から閉経までおよそ400回、25~35日の一定期間で、妊娠を準備するプロセスを繰り返しています。
このプロセスには月経のほか、それぞれの期間に女性特有の生理現象がともなっています。
月経期(3~7日間)から始まる約2週間の周期前半(月経期と卵胞期)は、卵子とその着床環境を新たに準備しなおす段階です。
これに呼応して受精の準備を促進する意味で、本能的な」感情・欲求は月経終了後に高まるリズムに設定されています。

また排卵が近づくと、卵管まで精子の進入を受け入れる目的で、子宮の入り口をふさいでいた粘液の粘りけを低下させ、その量を増やします。帯下(おりもの)が起こる原因です。
その後の周期後半(排卵期と黄体期)には、受精卵の着床・養育に備えるため、子宮内膜に再生された分泌液が活動を開始します。
これを助けるため全身の代謝が高められ、体温が0.3~0.5℃上昇します。
月経前の1週間ほどはときにホルモン分泌・自律神経系の調節・抑制がきかず、イライラ、ゆううつ、不安、不眠、のぼせ、めまい、乳房の張り、胃腸の不調、むくみ、頭痛、肩こりなど、心とからだの両面に不調を起こすことがありますが、ふつうは月経の開始とともになくなります。

このような心とからだの変化は、症状として軽く、本来の正しい時期に起こるかぎり心配はありません。むしろ、各過程が順調に進んでいる証拠だと自信をもてばよいでしょう。
しかし、症状が重く不快感が強いとき、起こる時期が違うとき、帯下が多かったり色や臭いがあるとき、月経痛・月経不順・不正な出血があるとき、感情・欲求がコントロールできないときは、放置すべきではありません。
漢方には、それぞれの症状にきめ細かに対処し、正常化する方法があります。